10年の時

電池が切れたのだろう
腕時計の針が止まった。

そういえば、この時計に出会ってから10年になる。

ブラジルにも連れて行ったが強盗に遭ってしまったらと思うと怖くて
現地ではほとんど着けることがなかった。
今思えば、あの頃の私は色々と心配しすぎていた。
そして知らない間に電池が切れて止まっていて
ブラジルからカナダへ行ったときに
真っ先に電池交換へ持って行ったんだっけ。

10年前、この時計と出会った頃父親から
「みやのこれからの道は茨の道になるぞ」と言われた。
あの頃の私は、その言葉にはとても深い愛が込められていたのだと
気付くことができなくて、その言葉を受け入れられず
ただ傷つき動揺したのだった。

振り返ると、あれからの私の道は茨の道だった。
父親の言う通りだった。
自分の子供が進もうとしている道が茨の道になると感付きながら、
忠告を聞こうともせず自分の道を押し通した頑固な娘を
父親はどんな気持ちで見送ったのだろう。
辛かっただろうな‥。

10年後、私は親の愛を思い知り
しばらく涙が止まらなくなるのだった。


茨の道も流した涙も全て、愛を学ぶためだったのだ。




何年か前に電池交換したときに、時計屋のおっちゃんに言われた。

「いい時計なので大事にしてくださいね。
ずっと使うのだったら、一度オーバーホールすると良いと思いますよ。」

今度電池交換に持って行って、オーバーホールの相談をしてみようかな。
これから始まる道を10年後に振り返るとき
この時計が現役で側にいてくれたらいいなと思うから。

易しい道ではなかったけど
愛でいっぱいの素晴らしい10年間だったなぁと
思い返しながら流す感謝の涙を
また次の10年へ馳せる希望の思いを
この時計に見てもらいたいと思うから。

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